正解の無い選択の日々 過去を抱きつつ„今“を戦う

松田浩希

ブログ読者の皆様初めまして、2年の松田浩希と申します。私は今、私達の学年から始まった在外履修という制度で半年間ブレーメン専門工科大学に留学しています。在外履修とは、2年次の秋学期に基本的に学科全員がドイツ語圏の大学でドイツ語を集中的に勉強し、3年次以降のより専門的な授業に参加することを可能にするというものです。今回ご縁があり、僭越ながらこのブログを執筆することになりました。このブログを読んで頂く方には留学予定や留学を検討されている方、あるいは外国語関連の進路を考えている中高生の方も多いかと存じます。今回はそういった方々に向けて、留学中に様々な決断をする中で私が感じた思いをまとめたいと思います。留学や進路選択の決断に迫られている方に私が感じた事をお伝えできればと思います。

~上智大学ドイツ語学科入学まで~
横浜に生まれ、大学1年夏まで一度も海外に出た事の無い純ジャパとして18年生きてきました。外国との関わりは殆どありませんでしたが、中学時代から何となく英語一番好きな科目でした。当時の私のシャイな気質にマッチしたのかは分かりませんが、外国語を話す時自分と相手のネイティブ教師にしか内容が分からず、隠れた世界に入っているような感覚が好きだったのかもしれません。高校3年次の進路選択の時期に、ずっと大切にしていた外国語を捨て去ってしまう事に無性に虚しさを感じ、夏休みに文転、外国語系統の学部を目指すこととなりました。上智大学は試験日程が合ったドイツ語学科を受験しました。結果そこに合格し、ドイツ語を学ぶ事が自分の将来にどんな意味を持つのか、具体的な展望は一切ありませんでしたが、英語だけでなくドイツ語も話したらどんな秘密の世界に入れるんだろう、そんな幼心一つを抱き上智大学に彷徨い込みました。

~留学に関しての選択と迷い~
留学は日々様々な選択とその後悔の繰り返しだったように思います。それも正解の無いように思えるものばかりでした。まず留学先大学の選択では、候補にはドイツ全土の総合大学から専門単科大学までズラリと並んでいました。開講科目の多様性、留学生受け入れの状況や日本語学科の有無等選ぶ基準は様々で、どの大学も魅力的に思えていました。最終的には日本経済学科のドイツ人学生との交流が盛んで、日本人留学生の数も多くて安心出来るという理由でブレーメン専門単科大学を選びました。最初は日本学専攻のドイツ人に囲まれ意気込んでいたのですが、次第にその状況が当たり前となってしまい日本人留学生と日本語で話す時間の方が増えてしまいました。これは良くないと焦りドイツ人学生との交流を増やしながら心の中では、もしかしたらブレーメンではなく日本人留学生の少ない大学を選んだ方が良かったのではないか、と自分の選択を疑ってしまう時もありました。今となってはブレーメンを選んで良かったと心底思えるのですが、もし他の選択肢を取っていたら、、とすっきりしない考えを抱えていた時期でした。
他には、留学でなく日本に残り、ソフィア祭実行委員として上智の歴史に残る活躍をしていたり、日本に残りながらもドイツに来ている私以上に力強くにドイツ語に向き合い資格試験に挑んでいる友人を見て、自分が今ここでしていることにどれだけの価値があるのか迷い当初の目標が霞んで見えることもありました。留学の終わりが間近になった今では、その友人たちに恐らく負けないくらいの達成感を自分では感じていますが、留学と日本での活躍とどちらが将来の自分に活きるのか、そんな解の無い問答を当時は馬鹿真面目にしていました。あらゆる正解の無い選択の場面で、何をするのが最善なのかという事を求め始めていました。

~正解の無い選択との付き合い方~
ブログ読者の皆様も、これまでに進路選択、部活動やアルバイト選び等様々な決断をされた経験があるかと思います。既に確固たる目標があり迷いなく決められた場合もあれば、その先の展開が完全に見通せていないまま決断した経験もお持ちではないでしょうか。そうして飛び込んだ新しい世界でも日々競争や苦悩、自分自身の実力不足に対するやるせなさや失望が待っていて、その度に自分が元々抱いていた夢や希望が嘘っぱちに見えてきて、自分が下した決断は正しかったのか、今やっていることが将来の自分にとって果たして報い得ることなのか。そんな禅問答を繰り返す事もあるかもしれません。自分で選んだ道だからきっと正しい、と誤魔化す様に自分を納得させる事も出来るのでしょうが、私はそうして目の前の壁から目を背けたくはなかった。留学中に大きなことから小さな事まで日々様々な選択に迫られ捻り出した、正解の無い選択との付き合い方、それは、目の前の“今”を何一つ無駄にせずやり残さず挑んでいくことです。捨てた選択肢で得られたであろう経験や価値に勝るくらいの実績を、最終的に選んだ今の状況で残していこうという考え方です。決して諦めた選択肢を忘れ去るのではなくそれさえも今を進む推進力にして過ごし、また新しい決断を下しては、取った選択と捨てた選択の両方と向き合い続ける。そんな繰り返しで留学生活を乗り切ってきたように思います。そんな留学も終わりに近づき、来季以降も科目やゼミ選択、さらには就職活動等で否応なく様々な決断をすることになります。一度下した決断の意味に迷うことも多々あると思いますが、そんな時こそ留学中に得たこの考え方を大切にしていきたいと思いますし、もし留学や進学に関して迷ったり自問している方の参考になっていたら非常に光栄です。最後に、悩みや葛藤もひっくるめて学生生活、留学生活だと思います。来年度より新しい生活を始められる方、是非あらゆる今を全力で挑んでみて下さい。その挑戦が終わった時に何かが始まる予感がしていれば、その選択は意味のあるものという事です。最後までお読み頂きありがとうございます。

日本学専攻の学生達と
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